【ネタバレあり】愛がなんだ【感想】
映画が公開されたときにCMを見て、とても気になっていたのですが偶然にもアマプラで発見したので見ました。
私はどちらかといえばあまり映画を視聴する方ではないのですが、色々考えさせられる映画だったので感想を記事にしたいと思います。
あらすじ
猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない・・・。
(公式サイトより
)
ネタバレ感想
※若干のネタバレを含みますので観覧する際は注意してください
ヒロインの狂気性と報われない恋愛
まず気になったのは、ヒロインのテルコの異常なまでの執着心。
大好きなマモちゃんのためならなんだって投げ出してしまう、仕事をクビになったって関係ない、何をするにも彼中心。それらの行動は常識では考えられない。
しかし、好きな人と会う約束していないのに予定をあけてみたり、誘いが来たらすぐに駆け付けたり、この人は私のことを絶対に好きじゃないけど離れることも出来ず、心が傷つきながらも中途半端な関係のまま続いていたり。
私も似たような恋愛をした経験があります。
私はとある男性の方と友達以上恋人未満の関係で3か月近く経ったときにふと、「この人に執着し続けても幸せになれない」ということに気づき、スッと恋愛感情が全て消え失せて連絡を取らなくなってしまった、ということがありました。
もちろんその人からしてみれば私は誘われたから会う都合の良い女だっただろうし、もしかしたら私が抱いていた恋愛感情なんてちっとも気づいてなかったかもしれないし。
それに近い似たような経験をしたことがある方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
自分はダメな人間だと思い込み自信がないから八方美人で誰にでも優しく接してくれる男性に惹かれ、
自信がないからこそ、自分のことを好きでいてくれる女性を隣に置いて優越感に浸り、自信を持って堂々と生きている女性に惹かれる。
自分のことを好きじゃない男を追い続けるのって本当に辛い。
心折れそうになるんだけど、「もしかしたら…!」って思ってしまうんですよね。
ヒロインの行動の数々はその辛さや心境を描いていてとても刺さりました。
確かにヒロインの行動は常軌を逸してして共感しがたい部分もあるが、
「好き」という気持ちに少しの異常性が混ざり合えば、誰にでもテルコに近いような状態になり得る。
「好き」ってとても儚くて、幸せで、それでいて人をおかしくさせる麻薬のようだ。
…恋愛って難しい。
ナカハラとテルコ
相手と自分のことを想って身を引こうとするナカハラ、相手の存在を自分の全てだと捉え辛いけれど隣にいることを望むテルコ。
その二人のコンビニで話すシーンはとても印象的でした。
周りの意見を受けて、相手のことを想って新しい道を進む決断をするナカハラと自分の考えを尊重しその道がどれだけ苦しくても貫き通すテルコ。
どちらが正しいのかわからないけど、新しい道を行く決断をするのは本当に難しい。
その中で、新しい道を選んだナカハラはとてもかっこよく見えました。
マモちゃんとテルコ、ナカハラとヨウコ
今までのマモちゃんの行動について「イカれてる」とバッサリ否定したヨウコ。
マモちゃん曰く、電話があったのはついこの間だという。
きっとナカハラからの言葉がヨウコの心にも届いたのかな?
今までテルコの話を聞いて、快く思っていなかったヨウコだがナカハラの言葉を聞き自分の今までの行動を反省し、マモちゃんにも自分と同じようになってほしくないと思ったのか、それともテルコのことを想ってなのか。
真意はよくわからないけど、この行動からヨウコの気持ちは少しずつ変わっていったと読み取れる。そして最後のエンディングにつながる形になります。
現状をおかしいと思うマモちゃんと、どのような形であっても一緒にいたいと思うテルコ。一緒にいるためにテルコはマモちゃんのことを好きじゃないと嘘をついてしまう。
好きじゃないと嘘をつくタイミングでお茶を取りに行くために席を離れ、マモちゃんに顔を見られないように話し始める。
本当はとても辛いのに。好きだと言ってしまったら隣にいれなくなってしまうから。
お茶を取ってくると吹っ切れたように笑う。
なに自意識過剰なこといってんのと作ったような笑い。
この笑顔にテルコの複雑な心情が良く現れている。
まとめ
振り回す側と振り回される側。
きっとどちらかを経験したことがある方は多いだろう。
好きに理由はない。好きになった人が好き。
好きでいてくれていることへの優越感。
言葉では言い表せない。恋愛って難しい。
これを体現している映画だと思う。
異常なんだけどなんだか妙にリアルで、見ながら色々考えさせられる作品だった。